手話技能検定試験と全国手話検定の違い
9月26日(日)に、第54回手話技能検定試験と、手話通訳士二次試験が行われました。
受験した皆さま、お疲れさまでした🙏
無事合格通知を受け取ることができますように✨
私はかつて、2004年から約3年間、NPO手話技能検定協会で試験問題を作る仕事をしていました。「手話技能検定試験と全国手話検定の違いは何ですか?」と聞かれることが多いので、正しくお答えしたいと思います。
2020年9月に手話技能検定試験のスタッフをした時に、NPO手話技能検定協会の理事長に、改めて2つの試験の違いを確認したので、それに基づいてお伝えします。
◆どっちが先なの?
【手話技能検定試験】の方が先に、2001年にスタートしました。
当時手話関係の試験と言えば、各地域の登録手話通訳者試験と手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)しかなく、手話を学習者が「自分はどのくらいのレベルなのか?」を知る試験はありませんでした。
それで、手話言語学を専門とする中京大学の教授と、手話ニュースや「みんなの手話」に出演されていた手話通訳士さんらが始めたのが、【手話技能検定試験】です。
◆風当たり
しかし、聴覚障がい者や手話関係の団体からは「手話で検定試験をするなんて、とんでもない」との風当たりが、とても強かったです。
私にも経験があります。2004年春、地元の手話講習会の通訳コースの第一回目の授業の時に自己紹介をすることになりました。
「NPO手話技能検定協会に勤めています」というと、授業の後、講師から呼び出されました。
「隆子さんは、登録手話通訳者になる気があるの?それなら、あそこに勤めていることは言わない方がいいわよ」
なぜ、そのようなことを言われるのか、訳が分かりませんでした。
でも私は、別に何も悪いことをしているわけではないので、その後も堂々と勤め先を言っていました。
◆後発の全国手話検定
それから2年後、手話で検定試験をすることを非難していた団体が、全国手話検定を始めました。全国手話検定のホームページを見ると、手話技能検定試験のHPの「Q & A」のページを丸ごとコピーして使っていたので、驚きました。
◆どっちが難しいの?
両方の試験を受けた方はご存知だと思いますが、【手話技能検定試験】の方が難しいです。
【手話技能検定試験3級】と、【全国手話検定準1級】が同じレベルと言われています。
◆外部からの評価
2017年秋に、「ギネスにチャレンジ」というイベントの手話指導を頼まれました。一度にたくさんの人に手話を教えて、ギネスブックにチャレンジする、という企画です。
その際、ギネスワールドレコーズから出された、【手話指導者の条件】は、下記の3つでした。
①手話通訳士であること
②ボランティアではなく、手話を教えることを仕事にしていること
③全国手話検定ではなく、手話技能検定試験3級以上に合格していること
◆違いをまとめると
【手話技能検定試験】は、2006年12月に国連総会で『手話は言語である』と定義した障害者権利条約が採択される前から、手話を一つの言語と考えて、英検のように言語の能力を測るために行われる試験です。
一方、全国手話検定は、ろう運動を広めることを大切に考えている試験のようです。
ですから、両者のスタンスが違います。
ということで、両者の違いを細かくご説明しました。
手話技能検定試験を受験した生徒さんから、「試験の例題に隆子先生が出ていたので、ホッとしました」と言っていただき、嬉しかったです😊
受験した皆さんが「サクラサク🌸」となりますように、お祈りしています。
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